響け!ユーフォニアム
4月から京都アニメーション制作でアニメ化される「響け!ユーフォニアム」原作を読んでみました。
がっつりネタバレですので、ご注意ください。
宝島社 (2013-12-05)
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とりあえず感想
吹奏楽的要素は置いといて。
とりあえず、「ペース配分間違えちゃいました」的作品だったなぁ、と。
人間関係で風呂敷広げすぎて、伏線ほとんど回収せずに終わっちゃった感じ。
終盤の駆け足っぷりが酷かった。
ただ、どうも完結じゃないらしい・・・3月に2巻が出るようなので、伏線云々は2巻読むまで置いときましょう。
人物の書き方が雑とか、情景描写がワンパターンすぎるとか、その辺はあくまでラノベなのでつっこまない方向で。
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設定について
京都は地区大会がない
勉強不足で知らなかったんですが、実は京都は地区大会がないそうです。
コンクールは、一番小さな大会区分の地区大会から始まり、地区大会を勝つと都道府県大会、都道府県大会を勝つと支部大会(北海道、東北、東関東、西関東、東京、北陸、東海、関西、中国、四国、九州)、そして支部大会を勝つとやっと全国大会出場になります。
地区大会の開催は各都道府県に委ねられてるんですが、地区大会が存在するのは北海道、東北6県、茨城、神奈川、群馬、埼玉、新潟、長野、岐阜、静岡、愛知、滋賀、大阪、兵庫、福岡、長崎の21道府県で、47都道府県の半数にも満たないんですね。
東京なんて都大会4日にわたって開催するそうですし。東京は支部大会がないので、1度の選考で全国行きが決まります。
逆に愛知県なんて酷いもんで、地区大会、県大会の後に、「県代表選考会」というのがあるため、全国に行くまでに4度も選考がある形になります。これは開催日程による有利不利を少しでも減らそうという配慮ではあるんですけどね。。。
曲について
キャント・バイ・ミー・ラヴ
最初に出てくるのがビートルズの「キャント・バイ・ミー・ラヴ」のアレンジモノ。
曲自体は超メジャーな曲なので当然吹奏楽アレンジも実在してます。しかも複数のアレンジがありますね。
マイケル・ブラウン編曲でマーチング用なんてのもあるみたいなので、これが想定されてるのかな?
三日月の舞
コンクール課題曲は架空の作曲家による架空の曲ですね。
アニメ化でどう対応してくるか、ちょっと見物です。
イーストコーストの風景
自由曲に選ばれたのはナイジェル・ヘス作曲の「イーストコーストの風景」。
コンクールでは演奏する学校が毎年1校いるかいないか、という曲。メジャーすぎはしないけど、ある程度しっかり吹奏楽やってた人なら1度は耳にしたことのある曲だと思います。
かなりキャッチーでジャズ要素も含んでたり、聞いてる方としてはかなり聞きやすい曲です。
難易度もそこそこ高いため、弱小楽団ではちょっときついかなぁ。
コパカバーナ
コンクールB編成が演奏するのがバリー・マニロウ作曲のコパカバーナ。
国内の吹奏楽的にはニュー・サウンズ・イン・ブラスから出てる岩井直溥編曲版が圧倒的に支持されてるはずなので、多分これ。
吹奏楽のラテンレパートリーとして、エルクンバンチェロやテキーラ、ブラジルなんかと並んでよく演奏される曲。
コンクールでの演奏に向いてるかどうかと言われると微妙だけど、高校野球の応援だったり、定期演奏会だったりと、かなりの吹奏楽経験者が演奏経験ある曲の1つじゃないでしょうか。
吹奏楽のためのマーチ
立華高校がコンクールの課題曲に選んだ曲。
まあ間違いなく架空の曲ですが、ちょっとタイトル投げやりすぎやしませんかこれw
吹奏楽アニメはなぜ少ないのか
というか、吹奏楽がベースになったアニメ作品って過去にありましたっけ?
漫画だと青空エールがありますね。あと放課後ウィンドオーケストラなんてのもありました。
ピアノ主体だとピアノの森や今絶賛放送中の四月は君の嘘がありますし、オケものだめカンタービレがあるわけで、クラシック漫画が受けないというわけではないハズなんですが・・・
で、行き着く結論としては、「人数が多すぎて描き切れない」になるんだろうなぁ、と。
高校吹奏楽は、コンクールA編成でまともに演奏をしようと思うと、最低でも30人〜35人は必要になってきます。
9人でできる野球や11人でできるサッカーとは必要な人数が違いすぎる。
これまでクラシックでアニメ化されてる作品は基本的に1人のものが多いんですよね。のだめカンタービレだって実際にはピアニストと指揮者がメインになってるわけで、オケそのものにスポットがあたってるわけではない。
一方吹奏楽はなかなか一つの楽器にスポットを当てにくいのもあって、映像化が難しかったんじゃないかなと思います。
ということで、あえてマイナーな楽器にスポットを当てて吹奏楽を描く、というのがどう作用するかはちょっと楽しみなところであります。
全国大会は今年もセンチュリーホール
そういえば、全国大会、今年はどこかなぁ、と思って調べてみたら、今年も名古屋国際会議場センチュリーホールなんですね。
普門館の取り壊しが確定し、2012年から名古屋で開催されてきましたが、2015年も名古屋で開催が決定していました。
普門館について
なぜ普門館でできなくなったか、ということですが、まとめると
- 東日本大震災でミューザ川崎やハマボールなど大型施設での天井崩落が相次ぐ
- 普門館も調査したところ天井崩落の危険性が指摘された
- 建て替えも検討したが、普門館のある地域が建設当時の準工業地域から第一種中高層住居専用地域に変更されていたことから、建築基準法により同規模のホールの建築は不可となっていた
ということで建て替えを断念した、という経緯でした。
なぜ名古屋だったのか
コンクールの全国大会の会場として、いくつか必要な要素があったと思います。
- 交通
- 客席数
- 音響
- 周辺宿泊施設・練習場の確保
- 駐車場
吹奏楽の大会では、大型の打楽器や低音楽器の運搬が必要になってきます。北海道や九州の学校への不公平感をなくそうと思うと、どうしても首都圏から関西までの間、となってしまいますね。
この中で、宿泊施設だったり練習場の確保を考えると、実質的に南関東、名古屋、京阪神に絞られます。
さて、コンクールは中学・高校各29校ずつ、それぞれ午前15校と午後14校にわけて演奏が行なわれます。各校の出演者が55人、関係者が仮に同数として、各校110人、これが15校ですから、1650人が出演者と関係者で占められる計算です。
とすると、キャパ2000人では少なすぎる。キャパ3000人程度を最低ラインとして考えると、この3地域でクラシック演奏が可能なホールはこれだけに絞られます。
- 東京国際フォーラム ホールA:東京・有楽町、客席数5012
- NHKホール:東京・渋谷、客席数3601
- パシフィコ横浜 国立大ホール:横浜・みなとみらい、客席数5002
- 名古屋国際会議場 センチュリーホール:名古屋・熱田、客席数3012
- フェスティバルホール:大阪・中之島、客席数2700
全国大会では、大型楽器の運搬はトラックで行なわれます。また出演生徒の移動のためバスが使用される。これらの大型車が何台も駐車できる駐車スペースが必要になります。更に上の5施設、NHKホールを除くと複合的集客施設のため、単独で相当数確保できることが条件。となると、現実的にはセンチュリーホール以外の選択肢はない、となります。(国際フォーラム:大型車不可、NHKホール:駐車場なし、パシフィコ横浜:公共野駐車場のため単独確保は難しい、フェスティバルホール:オフィス、商業施設がメインになるため、単独確保は難しい)
名古屋はキャパが小さいこと以外の欠点がない(音響的にも比較的良好)なため、よほどのことがない限り今後も名古屋開催固定になりそうな気がしています。