イルカ追い込み漁の件について

水族館好きを公言してる以上、そろそろこの件に触れないとなぁ、ということで。
 
和歌山県太地町沖でのイルカの追い込み漁がWAZA(世界動物園水族館協会)の倫理規定に反するとして、日本動物園水族館協会(JAZA)の会員資格を停止。JAZAは追い込み漁によるイルカ入手をやめることを決定し、WAZAに残留の申請をしたということです。
イルカ漁問題視、日本の資格停止 世界動物園水族館協会:朝日新聞デジタル
 
で、日本の水族館にいるイルカの大半が太地町から入手されている、という現状で、今後日本の水族館からイルカが消えるのでは、となるわけです。
 
国際テロ組織シーシェパードをはじめとする反捕鯨団体の主張が受け入れられて、日本の伝統的な漁業がひとつつぶされるわけですから、日本としては大きな問題ではあるんですよね。
ただ、これに関して、やっぱり日本のやり方にこれまでも問題はあった。シーシェパードがあれだけメディア戦略やってきてるんだから、日本もそこはうまくやっていくべきだったと思うんですよね。ロビー活動、メディア戦略、この辺はやっぱりお隣の国をもう少し見習ってもいいところなのかな、と。
また、太地町のイルカは中国やロシアに輸出されているわけですから、なぜ日本だけ停止になったの?というところも。この辺もアピール不足なんじゃないかなぁ、アピールというよりは、海外での世論に対するやり方に問題があるというか。
 
その一方で、日本国内で不必要に水族館が多過ぎる、というのは事実として認めざるを得ないところはあるわけで。海水系に限っても、都内だけで葛西、しながわ、すみだ、サンシャイン、エプソン品川と5ヶ所。首都圏で見ると、えのすい八景島、鴨川、油壷、と合計で9ヶ所(南関東だと箱根と犬吠埼もあわせて計11ヶ所)。さすがに多過ぎる。
日本人は水族館が好きと言いますが、さすがに多過ぎると思うんだよね。しかもイルカは保護目的はほとんどなくて、ほぼ客寄せのショーがメイン。確かにえのすいなんてあの狭い敷地ですごい繁殖頑張ってると思うし、個人的にえのすいを高く評価してるのはその辺もあってなんだけど。一方でエプソン品川みたいに本当にショーだけみたいな水族館もあるわけで、ある意味今回の決定は仕方ないことなんじゃないかなぁ、と思う部分もあったり。
 
で、これからどうなるか。
JAZAに加盟していない水族館はこれまで通りイルカを仕入れられるので、JAZAを抜ける水族館も出てくると予想。実際に大分マリーンパレス水族館うみたまごは脱退を示唆してるみたいですね。
JAZAに加盟している水族館は他ルートを当たるしかなくなるわけで、繁殖、自然に網にかかったイルカを持ってくる、輸入、の3択。
繁殖はなかなか日本では難しい、わけでして。
自然に網にかかる、はこれもこれで難しい。繁殖よりは確率高いかもだけど。
で、3つめの輸入。結局このルートが確立されるんじゃないかなぁ、と見てます。結局思う壷だよね。
 
ということで、これから日本がやらなきゃいけないことはとりあえず地道に海外での世論作り。それから延命措置としては、繁殖設備のない水族館から繁殖設備のある水族館へのイルカ譲渡、みたいなこともやっていかないとですね。別にエプソン品川に恨みはないんだけど、イルカショー諦めてえのすいや鴨川に譲渡して欲しいです、というのが本音。
あとはイルカショーに頼り切った水族館経営の見直し。すみだなんかはその点成功してますから、こういった独自のビジネスモデルを全国の水族館が色々試行錯誤して試していけば、個性ある水族館が続々できていって、面白くなるのになぁ、なんて思ったりもします。
ぜひ全国の水族館には、ピンチをチャンスに変えていって欲しいな、というのが、イチ水族館好きからの希望です。