もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

あるきっかけから弱小の公立高校野球部の女子マネージャーになったみなみが野球部を甲子園に連れて行くためにドラッカーの「マネジメント」を読んで野球部をマネジメントしていくというお話。
 
ドラッカーのマネジメントというビジネス書ではロングセラーになっている題材を、高校野球という身近な題材に適応することで、一度読んでみようかな、という気にさせてくれる導入書。
これだけでドラッカーの言ってることを全て網羅できてるわけでないことはわかってるし、かなり内容としても端折ってると思うんですが、マネジメントという難しそうな題材も実は色んなことに応用できるんだよ、ということを解らせてくれるだけでも十分読む価値はあるんじゃないかな、と思います。
文体も柔らかく、さくさく読めます。結構分厚く感じますが、実際はそこまで時間を要せずに読み終わることが可能かと。
 
まだ「マネジメント」を読んでないので、そちらの方についての評価は避けます。
小説ではないので、ストーリー展開が読めてしまったり都合のいい設定というのもある程度は仕方ないでしょう。
 
ただ、野球ファンとしては若干そっち方面のツッコミ入れたい。
高校野球界へのイノベーションとして、「ノーバント・ノーボール戦法」というのが出てきます。まあ、確かにバント不要というのもボールが・・・というのもひとつの考え方としてありだとは思うのですが・・・・
まずはノーバント。これは実際ここ数年バント不要論というのも出てきていて、実際甲子園でも方針としてバントをせずに勝ってきてる高校がいくつもあります。大垣日大とか常葉菊川とかね。確実にひとつの潮流としてバント不要論は存在するわけで(そのアンチテーゼとして名電バント野球なんてのもありましたがw)、今更これが革新的だと言われちゃうと、ちょっとなぁ・・・
次にノーボール。確かにそれで勝てれば間違ってはいないんですが、無理でしょ。よほどスピード、コントロール、変化球のキレが揃ってる超高校級のPがいれば話しは別ですけど。たかだか数ヶ月下半身鍛えてそれが身に付くのであれば、実際日本の野球のレベルってもっと高いところにあると思うんだよなー。
イノベーションの部分はもう少ししっかりと練って欲しかったところ。
 
マネジメントの導入書として読む文には十分興味をもてていいと思います。